日本人も犠牲となった同時爆弾テロを仕組んだ犯人が作成した極秘文書を入手。そこには、犯行計画の詳細が記されていた。「テロの季節」。インドネシアでは、毎年八月から十月までの期間をそう呼んでいる。東南アジアのイスラム系テロ組織ジェマア・イスラミア(JI)による大規模な自爆テロが、ここ数年、この時期を狙ったかのように起きているためだ。 日本人二人を含む二百二人が死亡したバリ島爆弾テロ(二〇〇二年十月十二日)に始まり、〇三年八月五日にはジャカルタの米系高級ホテル「J. W. マリオット」が爆破され十四人が死亡。〇四年九月九日にはジャカルタのオーストラリア大使館前の自爆攻撃で十人が犠牲となり、〇五年十月一日に再びバリ島で起きた同時爆弾テロでは、日本人一人を含む二十三人が亡くなった。 インドネシアの治安当局は、今年こそは惨劇を回避すべく、JI構成員らの動静の把握に全精力を注いできた。実は、治安当局は、テロリストの犯行を阻止するための有力な「武器」を手に入れていた。「プロジェクト・バリ」と名付けられたJIの極秘文書がそれだ。 プロジェクト・バリとは、最も新しい自爆テロである、〇五年のバリ島テロの詳細な実行計画および結果報告書だ。作成者は、このテロを首謀したJIのマレーシア人上級幹部のアズハリ・ビン・フシン(通称ドクター・アズハリ)容疑者とされる。同容疑者は犯行の約一カ月後に東ジャワ州バトゥ市の隠れ家で警官隊に射殺されたが、この極秘文書は、その際に押収された同容疑者所有のパソコンの中から見つかった。

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