プーチンが認めたロシア「三つの失敗」

執筆者:マイケル・ビンヨン2006年11月号

強面の大統領が能弁に語った三時間。対外関係では頑として強弁を通したが、内政では意外にも率直に失敗を認め――。[モスクワ発]今年で三回目となる「ヴァルダイ・ディスカッションクラブ(ヴァルダイは最初の開催地の近くの湖の名)」は九月九日、ロシア大統領府クレムリンからモスクワ郊外の大統領公邸に場所を移し、より親密な雰囲気の中で開かれた。これは年に一度、欧米やアジアの学者やジャーナリストらロシア専門家約四十名を招いて行なわれるもので、日本からは袴田茂樹青山学院大学教授が参加。今年は中国からも一名が出席した。プーチン大統領にとって、自身の見解を直接海外に発信する貴重な機会である。 会見に先立つ晩餐会では、プーチンは英語の会話も交えて冗談を飛ばし、珍しく親しみやすい顔も見せた。政治的にも経済的にもロシアを立て直したという自負からか、時に欧米に対する不満を露にしながら、プーチンはおよそ三時間にわたって内政、外交、エネルギー問題について自らの考えを語った。人口減少の深刻さを強調 二〇〇〇年三月に大統領に就任したプーチンは憲法の規定により二〇〇八年の大統領選には出馬できない。憲法改正で延命を図るのではとの憶測は絶えないが、プーチンは自らの再出馬を可能にするための憲法改正はないと言い切った。

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