国民党「敗北」の流れ:台湾の統一地方選

執筆者:野嶋剛2014年11月4日

 残り1カ月を切った台湾の統一地方選挙(11月29日)だが、メディアの各種世論調査がいろいろ出そろってきた。国民党が相当苦戦しており、下手をすれば、台北市長と台中市長という2つの市長ポストまで失う可能性が出てきている。台北、新北、桃園、台中、台南、高雄という6大都市でみれば、いままで国民党は台南、高雄以外を抑えて4:2の割合だったが、これが2:4に逆転して新北、桃園のみとなり、全体の首長ポスト数でも国民党と民進党の比率は現在の15対6から、どちらも10前後と互角の形になりそうだ。こうなると、国民党にとっては「敗北」と言ってもいい事態である。

 統一地方選は2016年の総統選の前哨戦という位置づけのため、その結果は国民党と民進党の2大政党の党内力学に大きく影響し、総統選の対決構図を左右するところに面白さがある。今回、新北市で圧勝するとみられる国民党の朱立倫は、馬英九総統の後継者として呉敦義副総統らライバルたちに実績で先んじた形になる。今後は新北市長に当選したばかりで総統選に立候補できるかどうかが焦点となるだろう。民進党の対抗馬は、主席として今回の選挙を指揮した蔡英文が、2度目の総統選挑戦に向けていっそう有利な立場になるはずだ。

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