タイのスラユット首相がタイ南部を訪問、イスラム系住民代表と対話するなど、対決に近い姿勢をとったタクシン前首相との違いを印象づけている。 首相は十一月二日に続いて八日にも、イスラム系武装組織がタイからの分離独立を求めて軍や警察と武力衝突していた南部を訪問。イスラム系住民代表に会って治安回復への協力を求めた。見返りに、学校で親イスラム的教育を行なっているとされ治安当局の調査対象となった教師のリストを放棄することを約束したという。さらに同首相は治安当局との衝突で逮捕された住民の起訴取り消しや逮捕状の撤回も実現するなど融和姿勢を打ち出した。背景には、タクシン政権の強圧的治安維持に対する反省があり、スラユット首相も「これまでの南部治安対策は誤りだった」と認めた。 ただ、十一月九日には南部ヤラ県の六カ所で同時に爆弾テロが発生、九人が重軽傷を負うなど治安状況は好転しておらず、今後のスラユット政権の対応に注目が集まっている。

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