訪朝第4日目の10月10日は朝鮮労働党創建記念日です。この日は、元山を日帰り訪問することになっていました。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の「故郷」でもあり、開発が急速に進んでいる元山訪問はわれわれの希望でしたが、党創建記念日に元山行きになったのは少し意外でした。北朝鮮側が平壌で党創建記念日の関連行事参観をセットするのではと思っていたからです。今年は党創建69周年で「区切りの年」ではないために、催しも小規模でした。そのために、われわれに見せるものが、あまりなかったのかも知れません。

 ホテルを午前8時に出発しました。平壌と元山を結ぶ道路は北朝鮮でも主要幹線道路です。興味深かったのは平壌を出発して数字の標識がずっとあったことでしたが、途中からそれが平壌からのキロ数を表すものであることが分かりました。その裏側にも数字があり、それは元山からのキロ数でした。この標識によると、平壌―元山間は194キロという計算になります。

 道路は4車線です。上り下りが区分されているわけではありません。道路はすべてコンクリート舗装でした。

 

穴だらけの「平壌―元山」幹線道路

 しかし、コンクリート舗装の上に、あちこちに大きな穴があいていました。運転手さんは、その穴をよけて通るのですから、4車線であっても実質的には2車線のようなものです。しかも、あちこち穴があいているので、スピードは出せません。舗装が十分になされていれば、194キロですから2時間もあれば元山に到着するのですが、スピードが出せないので、元山の手前にある馬息嶺スキー場まで2時間半掛かりました。馬息嶺と元山は約30分ですから、平壌―元山は3時間という計算でしょうか。道路の穴ぼこのために、車は実際には時速60キロぐらいでしか走れないわけです。

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