米国務省で長年、朝鮮半島政策にかかわってきた外交官が「北朝鮮関係の文書の回覧配布先に、『OVP』と指示された文書が多くてね」とぼやいている。 国務省の秘密文書はしばしば、政策調整のため国家安全保障会議(NSC)や国防総省など他省庁にも配布される。かつては副大統領に配布されることなどなかったが、ブッシュ政権になってから、チェイニー副大統領のオフィスを意味する「OVP(オフィス・オブ・バイスプレジデント)」にも回さなければならない文書が増えた。 北朝鮮の核問題や六カ国協議をめぐり、ブッシュ政権内現実派の対応を批判する情報がよく保守メディアなどにリークされる裏に、そんな事情があったのだ。 北朝鮮の核実験から三日後の十月十二日付保守系紙ワシントン・タイムズに掲載された「朝鮮半島危機めぐり情報で失敗」と題した記事からも、ブッシュ政権内タカ派の意図が透けて見える。 この記事はネグロポンテ国家情報長官(DNI)や米中央情報局(CIA)を厳しく批判する内容だった。数カ月前にまとめられた国家情報評価(NIE)などの文書で、十件ほどの「誤りがあった」というのだ。 同紙によると、(1)北朝鮮は核兵器を持っていないのに核実験する計画だとはったりをかけている、と誤った判断をした(2)七月五日の七発の連続ミサイル発射を予測できなかった――などの情報の失敗があり、「ブッシュ政権の対応能力を損ねた」としている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。