「小泉劇場」第二幕は「踏絵」

執筆者:2006年12月号

「踏絵」。江戸時代、隠れキリシタンを見つけ出すために聖母マリア像、キリスト十字架像などを刻んだ銅板や真鍮板を足で踏ませた。この古い言葉が、いま、自民党を震撼させている。言い出しっぺは中川秀直幹事長。郵政民営化法案に反対して自民党を離れた「造反組」の復党問題に関して「踏絵を踏んでもらう」と発言したことから、歴史上の言葉が、にわかに流行語のようになった。 現代版「踏絵」とは「郵政民営化に反対していないかどうか」「国会での首相指名選挙で安倍晋三に投票したかどうか」である。このことを基準にして復党を実現させるはずだったが、造反組の選挙区に「刺客」を送った張本人である小泉純一郎前首相、武部勤前幹事長、それに「刺客」として立候補し衆議院議員になったいわゆる「小泉チルドレン」らが反対しているため、話は一段と複雑になってきている。 安倍首相は、就任早々の日中、日韓首脳会談実現、それに北朝鮮の核実験強行という危機的状況の出現、ということも手伝って、滑り出しは好調だ。その勢いを駆って、来年七月の参院選対策として無所属の離党組を落選者も含めて一挙に復党させる腹積もりだった。アジア外交の劇的改善や、復党組の扱いに安倍首相の「小泉離れ」の意欲が見て取れる。院政も敷かず政治には口出ししないはずだった小泉氏が、復党の動きに待ったをかけた。

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