大手不動産三社の中で株価はダントツの首位。収益力も上昇の一途なのに、「業界の盟主」になるとの観測は聞こえて来ない。一体なぜなのか。 三大都市圏の基準地価が十六年ぶりに上昇し、東京や大阪のオフィスビル賃貸料の相場もうなぎ登り――。このところ土地バブル再来を予感させる事象にこと欠かない。株式市場に目をやれば、一九八〇年代後半の狂乱地価の記憶を否応なく呼び覚ます銘柄にしばしば遭遇する。その一つが住友不動産だ。二十年前、東京・神田や西新宿でオフィスビル用地を強引に買い集め、担当社員が「大卒キャリアの地上げ屋」と呼ばれていた、あの会社である。 過大な有利子負債や系列ノンバンクの不良資産処理で九〇年代には信用不安も囁かれたが、旧財閥系のネームバリューと強気一辺倒の経営方針で何とか危機をしのいだ。その住友不動産が最近は証券会社に有望銘柄として持て囃され、株価は昨年末から何度か上場来高値を更新している。この会社は生まれ変わり、本当に危機は去ったのだろうか。「九十六歳」いまも君臨 住友不動産の十一月十日現在の株価終値は三五〇〇円。ライバルの三井不動産(二六九五円)、三菱地所(二六六〇円)の株価を千円近く上回っている。

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