プーチン大統領「対米リベンジ」の深層心理

執筆者:春名幹男2014年11月27日

 北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議。安倍晋三首相がプーチン・ロシア大統領との会談を始めた時、時計は11月9日午後9時30分を回っていた。両首脳は約80分間公式会談を行った後、両国外相らを外して、通訳だけを入れて親密に話し合った。

 ウクライナ問題などでロシアを取り巻く情勢が緊迫の度を強める中、「安倍首相はプーチン大統領と一体何を話したのか」と各国情報筋の関心を集めた。あえて1対1の会談を提案した安倍外交に多少の不安が指摘されている。

 国家元首でありながら秘密工作の司令官のようであり、行政官でありながらスパイのような振る舞いも見られるプーチン氏。ウクライナ問題などで、次にどのような戦略的展開をもくろんでいるのか、一切明らかにしようともしない。米国を含め先進各国は、その危険な方向を見定めることもできていないのだ。

 

ネオKGB国家ロシア

「ネオKGB国家の展開」――。英誌エコノミストは2007年8月23日号でそんな見出しを掲げた。

 またブルッキングズ研究所研究員でロシア担当の元米国家情報官、フィオナ・ヒル氏らの力作『ミスター・プーチン―クレムリンの工作員』(2012年)は「国家統制主義者」「歴史的人物」「生存主義者」「アウトサイダー」「自由市場支持者」「情報機関員」という6つの側面からプーチン分析を試みた。

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