安倍晋三首相は十月八日、一泊二日で北京を訪問し、胡錦濤国家主席らと会談した。中国は安倍首相をどう瀬踏みしていたのか。そのもてなしから推測してみよう。 一連の行事と会談をこなした夜、人民大会堂で温家宝首相主催の晩餐会が開かれた。そのメニューである。 〈料理〉 前菜 燕の巣のスープ 伊勢海老ニンニク炒め マツタケと野菜炒め 牛のアキレス腱醤油煮込み クルミ入り焼きパイ 点心(デザート) 水果(フルーツ) 〈飲みもの〉 長城干紅〇二年(赤ワイン) 長城干白〇二年(白ワイン) 中国の歓迎宴の基本は、デザートを別にして、スープ一品と料理四品の「四菜一湯」。ゲストによって品数を増やすが、安倍首相は「四菜一湯」の基本構成。比較的あっさりした軽めの内容である。 参考までに二〇〇一年十月、首相就任半年後に初訪中した小泉純一郎首相の歓迎昼食会のメニューと比べてみよう。 前菜 山海の珍味スープ ふかヒレの煮込み 上海蟹のグラタン 鱈の甘味焼き まくわ瓜に茸の盛り合わせ 燕の巣のココナツミルク 点心(デザート) 水果(フルーツ)「六菜一湯」と、安倍首相より二品多い。また、ふかヒレ、上海蟹、燕の巣など、珍味、贅沢な食材を多用している。しかも小泉首相は昼食会。ふつうは昼食会より夕食会の方が重めなのにである。

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