子供の読解力向上を目指すある試み

執筆者:草生亜紀子2006年12月号

実践する教師は全国でもひと握りという「一読総合法」。このユニークな国語指導法は、読解力を高める決め手となるか。 読解力が問題だ。 文部科学省は昨年末「読解力向上プログラム」を策定し、日本の子供たちの読解力アップに乗り出した。 発端は、二〇〇四年十二月に公表されたOECD(経済協力開発機構)のPISA(生徒の学習到達度)調査の結果だった。「数学的リテラシー(応用力)」「科学的リテラシー」「問題解決能力」の得点は統計上一位の国と大差なかったが、「読解力」の得点がOECD諸国の平均程度にまで落ちていることが明らかになったのだ。これが、教育界に「PISAショック」といわれる衝撃を呼んだ。 文科省は国立教育政策研究所と協力してPISA調査の結果を詳細に分析。それによると、日本の子供たちは、文章や図表などを読みとるに当たって、「情報の取り出し(書かれている情報を正確に取り出す)」は遜色なくできるものの、「解釈(書かれた情報がどのような意味を持つかの理解・推論)」や「熟考・評価(書かれていることを自分の知識や経験と結びつける)」となると、OECD平均よりも五%以上正答率の低い問題が多いことがわかった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。