共和党が圧勝した米議会では現在、レイムダック会期が召集されているが、もうひと月もすると新たな年を迎え、ちょうど1年後には、2016年大統領選挙戦の「幕開け」となるアイオワ州党員集会が行われることになる。今後、有権者やメディアの関心は、次の政治サイクルである2016年大統領選挙へと益々移行することになる。

 

異色の“中道派”

 そうした中、11月19日、ヴァージニア州選出の元民主党上院議員であるジム・ウェブ氏が、次期大統領選への出馬を目指して「選挙準備委員会」を設置したことを明らかにした。ウェブ氏は具体的な出馬表明時期については一切明らかにはしなかったが、共和、民主両党を含め、次期大統領選出馬を視野に選挙準備委員会を設置するのはウェブ氏が初めてとなる。実はウェブ氏については、無所属候補として出馬するのではとの憶測もあった。だが、今年9月に、出馬する場合は民主党の大統領候補指名獲得を目指す方針を明らかにしていた。

 ウェブ氏は選挙準備委員会設立の理由について、自らの公式サイト上で、超党派主義に基づく問題解決の必要性、慎重な外交政策の展開、経済格差の是正、透明性の高い機能的な行政システムの再構築などを挙げている(http://www.webb2016.com)。とりわけ、米国の国益に沿って超党派主義に基づき取り組む重要性を力説しているが、ウェブ氏自身の経歴を見るとその主張も頷ける。まず、レーガン共和党政権では国防次官補(予備役問題担当)、海軍長官を歴任している。が、2006年中間選挙ではジョージ・W.ブッシュ共和党政権の対イラク政策を厳しく批判し、共和党現職のジョージ・アレン上院議員を得票率0.5ポイント差の僅差で破り、2007年1月から2013年1月まで1期6年間は民主党の上院議員だったのだ。共和党政権に仕え、後には民主党上院議員としても活動した“中道派政治家”としての経歴を前面に出して訴えていることもウェブ氏の特徴であるが、最近のワシントンの政治状況については、「麻痺状態」と与野党対立を厳しく批判している。

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