小さなライバルの攻勢でにわかに業績悪化に陥った半導体の巨人。だがその揺らぎには「内なる要因」も大いにかかわっていた。 米カリフォルニア州のサンフランシスコで、十月二十二日から開かれた「オラクル・オープンワールド」。年に一度だけ開催されるIT(情報技術)業界の一大イベントの売り物は、有力企業トップが次々と登場する基調講演だ。ヒューレット・パッカードのマーク・ハードCEO(最高経営責任者)やサン・マイクロシステムズのジョナサン・シュワルツCEOなど、今年も錚々たるメンバーが顔をそろえた。 中でも、ひときわ聴衆の目を引いた「今年の主役」は、半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のヘクター・ルイズCEOだろう。世界最大のパソコンメーカー、デルのマイケル・デル会長がゲストとして飛び入り参加し、ルイズ氏と笑顔でがっちり握手を交わしたからだ。これは少し前なら考えられない「異例の組み合わせ」だった。 AMDの主力製品はパソコンやサーバーの頭脳の役目を果たすMPU(超小型演算処理装置)。この分野の覇者は世界で八割ものシェアを握る半導体業界の巨人インテルだ。デルは長年、自社製品にインテル製MPUだけを使ってきたが、今年になって方針を転換し、AMDからも調達することを決めた。AMDがここ数年、開発に力を入れてきた低消費電力型のMPUに対する評価が業界内で高まり、デルも市場ニーズを満足させるため、その採用に踏み切らざるを得なくなったのだ。

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