十月下旬、世界銀行や日本の国際協力銀行(JBIC)の協力で、アジア初の排出権ビジネスの見本市「カーボンエキスポ・アジア」が北京で開催された。中国をはじめアジアのエネルギー消費の伸びは大きい。二酸化炭素の排出量で見ても、一九九〇年水準から三割以上も増加した。世界の排出権の六割以上を生み出す“供給基地”に先進国の企業が殺到。四十カ国から百社以上が出展し、入場者も約千百人と予想を大きく上回った。 人口が多く、民生用エネルギー消費が急増する中国では、家庭や事業所での「省エネ家電」の普及が効果的。今年八月号本欄で紹介した、家庭の白熱電球を電球型蛍光灯に切り替える事業は、実施までの準備期間が短く、コストも安く済むことから、とくに注目を集めた。 見本市は盛況に終わったが、課題も残る。第一は日本のプレゼンスの低さだ。英国は環境省のほか排出権仲介業のエコセキュリティズなど十三社が出展し圧倒的な存在感を示し、独、伊、オーストリアなども政府の排出権購入ファンドがその実績を謳った。だが日本からはわずか六社。京都議定書から離脱した米国ですらナットソース他七社が出展しており、お膝元のアジア市場で出遅れている。 第二はメーカーの出展の少なさ。前述の聞きなれない企業は、工場など排出権の「売り手」と日本政府など「買い手」をつなぐ“ブローカー”。需要拡大を見込んで中国で排出権を買い集め、高く売り抜くのが狙いだ。

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