国民党が歴史的敗北を喫した台湾の統一地方選について、日本のメディアはどのように報じたのだろうか。新聞を中心に主要5紙の内容をレビューしてみた。内容的には「日本人の知りたい台湾選挙」という制約がかかるため、台湾の報道とは微妙に違いがあって面白い。台湾の記者では書きにくい総論的な選挙への評価があるので役に立つ半面、「中台関係」にこだわりすぎて、民意の巨大な変化への分析が不足した部分も感じられた。

(編集部注:この記事は、野嶋さんが台湾の現地ネットニュース『NewTalk』(http://newtalk.tw/)に寄稿した内容を基に再構成したものです)

 

従来のルールが大きく変更

 日本の新聞は、ニュースの「格」を重視する。その紙面は、「総合面」と言われるあらゆるニュースを扱う1面、2面、3面と、政治、経済、国際などの専門分野別の紙面に分けられる。台湾の場合は当然国際面になる。

 最重要ニュースを1面に、重要ニュースを2、3面に、そしてそれぞれの専門性の高い情報は分野別の紙面に振り分けられる。

 台湾の選挙の場合、私の経験に照らせば、4年に1度の総統選挙は文句なく1面に置かれるが、立法委員選挙は2、3面かあるいは国際面に、統一地方選は国際面という形で掲載されるのがこの10年の相場観だった。

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