農協と政治家が潰す農政大改革

執筆者:2007年1月号

「意欲と能力のある農家だけに直接助成を」。そんな大改革におののいた農協と政治家が「抜け道」をひねりだし、改革は逆の方向へ――。 この冬、農村の関心は、「農地解放に次ぐ戦後最大の農政改革」と呼ばれる「日本型直接支払いの導入」の一点に集中している。新年度から始まる新しい補助金制度の運用は、二〇〇七年四月の統一地方選と七月の参院選に大きく影響する。     * これまで日本の農業の中で最も手厚い保護を受けてきたのは、コメなどの土地利用型農業だ。「一戸当たりの耕地面積が狭く国際競争力がない」という農業経済学者の分析は、「経営規模の拡大」を目指す政策を後押しする半面、土地利用型農業の「保護」も正当化してきた。 農協と自民党は米価闘争を通じてコメ価格の引き上げに専念、この圧力を受けて戦後の農政は規模拡大への誘導にことごとく失敗した。一方、コメに対する過剰な保護は、週末だけ片手間に農作業をする零細兼業農家を「最も競争力のある生産者」(ある大規模農家の声)に育て上げてしまった。農業に頼らず生活できる兼業農家はコメの不作や価格暴落にも耐えられるため、「価格下落で最初に音をあげるのは大規模な専業農家」(同)という本末転倒の構造となっている。

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