南米チリに滞在中のフジモリ元ペルー大統領が日本に舞い戻る可能性がある。 ペルー当局からフジモリ氏の身柄引き渡しを求められているチリの最高裁筋によれば、最高裁は既に最終審理に必要なすべての尋問や証拠調べを終了、一月中にも引き渡し可否の決定を下す見込みだが、ペルー側の請求を却下する公算が大きいという。ペルー側が身柄引き渡しの理由としているフジモリ氏の大統領時代の汚職や殺人容疑について明白な証拠が挙げられないためとみられる。 ペルーの首都リマの消息筋によれば、ペルーのガルシア政権はチリ最高裁の却下決定を既に予想し、十月からフジモリ派と帰国の条件について秘密交渉を行なっていた。しかし、最近になってガルシア政権の与党アメリカ革命人民同盟(APRA)内で、フジモリ氏が帰国すれば野党勢力が一気に力を増し、政権を脅かしかねないとの意見が強くなったため、秘密交渉は中断されたという。 同消息筋は「ガルシア政権と同じ中道左派のチリ・バチェレ政権は対ペルー関係の悪化を避けるため、最高裁の決定後、フジモリ氏の滞在延長を認めない可能性が強い」と指摘する。そうなると、日本国籍を持つフジモリ氏は日本に“帰国”せざるを得なくなる可能性が高いという。

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