民主化するどころか、逆に人権弾圧を強めていると国際社会から非難を浴びているミャンマーに、インドが軍事援助を増やすことが明らかになり、東南アジア諸国連合(ASEAN)はじめ関係各国からのインド批判が高まっている。 これはインド空軍ツァギ参謀長が十一月末にミャンマーを訪問した際に、ミャンマー軍政幹部らと会談し、一連の軍事援助について合意に達した結果という。「援助パッケージ」には作戦ヘリコプターの供与、既存の戦闘機の能力向上、海軍の哨戒訓練支援などが含まれているという。 また、十一月初旬にミャンマーを訪問したシン陸軍参謀長は、ミャンマー陸軍に対して訓練支援を行なうことで合意。二〇〇六年はじめには英国から導入した海上偵察機二機を英国の反対にもかかわらずミャンマーに売却するなど、軍事面でのインドのミャンマー接近がこのところ顕著となっている。 こうした動きの背景には、東南アジアでのプレゼンスをめぐって中国と競争を続けるインドの「経済援助では中国に遅れているが、その他の分野では負けない。軍事面での援助も、もはやタブーにはしていられない」との焦りがあるとされる。 国際的な人権団体などは「ミャンマー軍が新たな武器・兵器を国防に使わず、国内の治安維持や少数民族弾圧に使用するのはこれまでの経緯からみても明白。インドは軍政の人権弾圧に間接的に協力していることを自覚すべきだ」と厳しい反応を示している。

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