投票率アップのための奇策として注目を集め、本誌十一月号でも詳報したアメリカ・アリゾナ州の「投票宝くじ」創設案は、十一月七日の住民投票の結果、否決された。 提案は、中間選挙で投票を行なった有権者の中から、抽選で一名に百万ドル(約一億二千万円)を与えるというもの。資金には州の宝くじの当選未払い金を充てる計画だった。その目的は、低迷する投票率をアップさせ、より幅広い政治参加を促そうというもの。一方で「民主主義への冒涜」との声も高かった。 中間選挙とあわせて行なわれた住民投票の結果は、蓋を開けてみれば、賛成三三・四%、反対六六・六%という、大差での否決。 その理由について地元記者は、発案が新聞では話題になったものの、テレビCMがなかったために、そもそもこの改革案のターゲットである「選挙に行かない層」に情報が伝わらなかったと分析する。また、これを認めれば、投票に出向かせるための報奨がどんどん派手になるとの懸念も当初からあった。 ちなみに十一月の選挙でのアリゾナ州の投票率は六〇・五%。二〇〇〇年、〇四年の投票率は、それぞれ七一・八%、七七・一%だった。白熱した大統領選の年と単純比較はできないが、発案が狙った投票率アップ自体の効果もなかったようだ。

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