三位一体改革に伴う国の所得税から地方の個人住民税への税源移譲が、二〇〇七年の参院選でマイナスに働くとの見方が永田町周辺を駆けめぐっている。 自民党税制調査会は〇五年末に、〇七年一月から所得税率を引き下げ、同年六月から住民税率を上げる形で地方への税源移譲を実現する枠組みを決めた。税源の「移譲」だから、原則的には個人の負担は変わらない。総務省の説明によると、夫婦子供二人で年収五百万円のサラリーマンの場合、現在の所得税と住民税を合わせた税負担額は月一万九百五十円。ただ、所得税と住民税では課税時期が異なるため、二〇〇七年一月から五月まではいったん所得税が下がって負担は八千七百円まで低下。ただ、六月からはその分が住民税に跳ね返り、定率減税廃止の影響も上乗せされて負担額は一気に一万四千百円にアップする。 〇五年六月に政府税制調査会(首相の諮問機関)がサラリーマン増税を打ち出した直後の東京都議選では自民が敗北し、民主が躍進。〇六年六月にも、年金課税の見直しの影響で年金生活者の住民税が跳ね上がり、各地の役所窓口に年金生活者が殺到して大騒動となった。政府・与党内では「夏の参院選直前に住民税が上がるのはタイミングが最悪だ」(関係者)という懸念が強まっている。

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