あまりに厳しくて、経営者は縮みあがり、外国からも米市場が敬遠される。そんな声が高まり、企業改革法を見直す動きが出てきたが……。[ワシントン発]米国で「ソックス」をめぐる議論が白熱している。松坂大輔投手の獲得に動いたボストン・レッド“ソックス”や井口資仁内野手のシカゴ・ホワイト“ソックス”の戦力分析ではない。二〇〇二年に法案を提出した二人の米国会議員、Sarbanes(サーベンス)とOxley(オクスリー)の名を冠した、通称「SOX(米企業改革法)」の話だ。「財務諸表に対する経営者の責任を明確にしたソックスが重荷となり、米国の企業や資本市場の競争力が落ちたのではないのか」。そのような問題意識から、侃々諤々の論戦が繰り広げられているのである。 エネルギー大手のエンロン、通信大手のワールドコム、ケーブルテレビ大手のアデルフィア・コミュニケーションズなど米国の巨大企業が、不正会計や詐欺、インサイダー取引といった「ホワイトカラー・クライム」を噴出させ相次ぎ破綻し、大手監査法人アーサー・アンダーセンまでもが解散に追い込まれたのは、まだ四、五年前の話。ITバブルが崩壊した〇一年以降に社会問題化した企業スキャンダルへの反省から、「ソックス」は〇二年七月に米議会で可決され翌年から施行された。この年は十一月の中間選挙を控えて企業不正が政治の争点になったため、議論開始から可決までたった四カ月というスピードだった。

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