[パリ発]フランス初の女性大統領の座を目指すセゴレーヌ・ロワイヤルの選挙キャンペーンは、十一月末、レバノンへの外遊から始まった。二〇〇七年四月の大統領選に向けて、社会党の候補に選ばれた五十三歳のロワイヤルにとって、これまで足を踏み入れてこなかった国際舞台へのデビューになるはずだった。 ところが、ベイルートに着いたロワイヤルは、イスラム教シーア派組織ヒズボラなど親シリア派によるシニョーラ政権(反シリア派)の退陣を求めるデモに遭遇。情勢を把握していなかったのは明らかだった。そのうえ、アリ・アンマルらヒズボラ所属の議員と面会。アフガニスタンやイラクに駐留する「アメリカの果てしなき狂気」を非難し、イスラエルをヒトラーの第三帝国になぞらえたアンマルに対し、「率直なご意見ありがとうございます。アメリカの分析をはじめ、ご意見には賛同するところが多々あります」と答えてしまったものだから、本国ではあまりに軽率と批判の声があがった。 ロワイヤルは通訳がうまくいかず、アンマルが何をいったのか正確にわからなかったと抗弁したものの、対立陣営は批判の手を休めない。 というのも、与党国民運動連合(UMP)の最有力候補とされる保守・中道派のニコラ・サルコジ内相(五一)とロワイヤルは現時点の世論調査で全く五分五分の勝負をしており、大統領選挙は大接戦が予想されているからだ。保守陣営は一斉に、彼女は外交のアマチュアだと言い立てた。高等教育・研究担当相のフランソワ・グーラールは、「ロワイヤルは何を言っているのか自分でわかっていない」とまで言った。

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