新法王「ハレンチ神父追放」の陰に多額の賠償請求

執筆者:シルヴィオ・ピエールサンティ2007年1月号

[ローマ発]「聖職者による未成年者への性的虐待が数多く行なわれている。この“堕落”を今こそ正さなければならない」――バチカンに集まったアイルランドの司教たちを前に、十月末、ローマ法王ベネディクト十六世は告げた。 米国カトリック司教会議の報告によれば、未成年者に性的虐待を行なったとされるアメリカのカトリックの聖職者は、過去五十年間で四千三百九十二名にのぼる。聖職者の総数約十一万名に対してほぼ四%という驚くべき高い割合だが、アイルランドでも、やはり四%前後という高率が確認されている。 ベネディクト十六世は二〇〇五年四月に新法王に選出されてから、小児性愛の性向をもつ聖職者に対する「不寛容方針」を打ち出した。バチカン法廷には、「いかなる裁判であっても、通常の手続きで進めること」と命じている。言い換えれば、スキャンダルを避けるため前法王の故ヨハネ・パウロ二世に庇護されてきた極めて高位の聖職者も例外とはしない、ということだ。 従来は、聖職者が明らかに有罪でも、実質的には何の効果もない心理療法を受けたのち、別のポストに移されるだけで、一方、被害者には、かなりの額の“口止め料”が渡されて不祥事はもみ消されてきた。

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