「国際結婚急増」は韓国をどう変えるのか

執筆者:平井久志2007年1月号

農漁村の新婚さんは三組に一組が国際結婚。日本以上に急ピッチで少子高齢化に向かう韓国で、もうひとつの“変貌”が進みつつある。[ソウル発]最近、韓国の仁川国際空港で目につく光景がある。早朝にもかかわらず、地方出身とみられる韓国人男性たちが到着ゲート前にたむろしているのだ。彼らは決して若くなく、どこか洗練されていない着こなしでもあるが、それでもちゃんと身繕いをしている。手に写真を握りしめた者もいる。この男性たちが一心に待っているのは、ベトナムからの到着便だ。 ベトナム戦争で戦火を交えたベトナムと韓国の両国は、最近、経済関係を含め急速に関係を拡大しつつある。ハノイ、ホーチミン両市と仁川間を往復する航空便は次第に増便され、深夜にベトナムを発つものが主流だ。早朝の仁川空港で韓国の農村男性たちが待つのは、念願の花嫁たちだ。 韓国の農村が深刻な「嫁不足」に直面して久しい。社会が豊かになるにつれ、韓国の女性たちは都市を目指し、都市と比べ相対的に貧しく、家事労働などの負担が大きい農村へ嫁ぐことを避ける傾向にある。そのため、農村の老総角(高齢独身男性)の多くは中国や東南アジアに花嫁を求めている。その中でも最近、急増しているのがベトナム女性だ。

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