原油価格「下落のメカニズム」と将来予測

執筆者:岩瀬昇2015年1月6日

 著名な英国人エネルギー専門家、ニック・バトラー氏は昨年12月15日、Financial Timesへの寄稿で、”Energy Personality of the Year”にサウジアラビアのナイミ石油相を選出した。「何もしない」ことによって原油価格を半年で50%下落させたことが受賞理由だそうだ。だが「当初の意図はどうであれ、現状は“制御不能”に陥っているのではないか」とも述べている。表舞台にこそ過去20年間石油相を務めているナイミ氏がいるが、サウジの石油政策は王室の了解なしには成り立たない。バトラー氏は、サウジ王室に内部対立があって意思統一が出来ていない、“制御不能”に陥っている、と示唆しているのだろうか?
 中東情勢に詳しい知人に聞くと、「外から見えないところにサウジ王室の強みがある」という。だから「突然、まったく異なった政策が打ち出される可能性もある」と。

 

「逆オイルショック」からの教訓

 これは12月12日現在の下落率のグラフだが、今回の下落は、2008年のリーマンショック、1985年から86年にかけての「逆オイルショック」に次ぐ、史上3位の下落率である。さらに20ドル近く下落しなければ2位にはなれない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。