ジャカルタにもいた「喜び組」

執筆者:竹田いさみ2007年1月号

 古色蒼然たるスカルノ・ハッタ国際空港――首都ジャカルタ郊外にあるインドネシアの“玄関口”だ。到着ロビーを出てタクシー乗り場へ向かうと、ジャカルタで最も信頼性の高い「シルバーバード・タクシー」を騙る連中の執拗な客引きにあう。これに引っかかると数倍の料金を請求されるので、無視するのが上策。正規のタクシー乗り場に行列して、正真正銘の「シルバーバード」に乗り込む。乗り場ではこうした「事情」に通じた華人、欧米人、日本人などに加えて、最近では韓国人の姿をよく見るようになった。 今、ジャカルタにちょっとした韓国ブームが到来している。高速道路沿いに立てられた外国企業の大型看板も、一頃は日本企業が幅を利かせていたが、近年はサムスン、現代、LG、SKなど、韓国企業に取って代わられた。韓国料理のレストラン、韓国スーパー、カラオケも目につくようになった。かつてジャカルタ南部といえば、高額所得の日本人駐在員が集まり、日本人コミュニティが一大勢力となっていたが、ここにも韓国人コミュニティが根を張りつつある。また日本人が敬遠するジャカルタ東部でも、「カンポン・コリア(韓国村)」が建設中だ。 インドネシア全体で見ると、韓国人の人口は四万五千人。そのうち三万五千人がジャカルタに在住している。それ以外ではスラバヤ、バンドン、バリ島に韓国人のコミュニティがある。インドネシア人との国際結婚も増え、すでに五十人の韓国人が国際結婚に際してイスラム教に改宗したという。二〇〇五年には二十二万人の韓国人が観光で訪れるなど、観光産業にとっても韓国人はお得意様だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。