6年目の気絶

執筆者:名越健郎2007年1月号

 米民主党が上下両院を制した11月7日の中間選挙は、民主党の勝利というより、ブッシュ共和党の自滅だった。イラクの惨状、議会スキャンダル、ハリケーン「カトリーナ」処理の無能、チェイニー副大統領の誤射、環境悪化、最高裁判事指名のトラブル、ガソリン価格急騰、イラク政策への将軍の反乱……。これほどの失策が続けば、退潮の民主党でも楽勝だった。 ブッシュ大統領は選挙翌日の記者会見で、“It was a thumping.”(叩きのめされた)とあっさり敗北を認め、イラク政策の責任者であるラムズフェルド国防長官を解任。政権発足から6年目の中間選挙は与党が敗北するというジンクス、“the sixth year swoon”(6年目の気絶)も破れなかった。 ある世論調査では支持率29%まで下がり、レームダック化が進む大統領にとって、残り2年強の任期は針のムシロとなりそうだ。 中間選挙の結果をテレビキャスターがコメントした。「ブッシュ政権が進めたレジーム・チェンジ(政権交代)が自らにも適用された」 問 首都ワシントンで席が安泰な共和党員は誰か? 答 リンカーン記念堂のリンカーンだけだ。 ラムズフェルド国防長官の解任について、テレビキャスターがコメントした。

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