ナレンドラ・モディ・インド首相による経済改革の「目玉」とも言える輸出・製造業振興イニシアチブ「メーク・イン・インディア(インドでものづくりを)」に対し、金融政策を取り仕切るインド中銀(RBI)のラグラム・ラジャン総裁が、冷静だが厳しい注文をつけた。

 

「メーク・フォー・インディア」

 世界的なエコノミストとして知られるラジャン総裁は、12月12日に開いたインド商工会議所連盟(FICCI)主催の記念講演会に登壇し、「製造業のような特定のセクターだけをテコ入れする政策には危うさを感じる。中国で成功しているからといって、インドの置かれた状況は異なる。どんな策が有効か現実を見極めて対応するべきだ」と主張。インドは国内需要にフォーカスし、モノとサービスの統合税(GST)の導入による国税・地方税の一本化などで取引コストを削減し、国内市場の統合を図るべきだ、との持論を展開した。

 製造業や輸出振興一辺倒ではなく、サービス業も含めた国内需要を掘り起こし、流通機構を近代化するとともに足かせとなっている複雑な法律や税制を合理化するというのは、まさに「メーク・フォー・インディア(インド市場のためにものづくりを)」と言うべき思想だ。

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