「タカタ」の清水博シニアバイスプレジデント(左端)やホンダ、トヨタ自動車などの幹部は米議会下院公聴会にも出頭を求められた(C)時事
「タカタ」の清水博シニアバイスプレジデント(左端)やホンダ、トヨタ自動車などの幹部は米議会下院公聴会にも出頭を求められた(C)時事

 自動車部品大手『タカタ』の欠陥エアバッグ問題が広がり続けている。リコール対象になったメーカーはホンダ、トヨタ、マツダ、ゼネラルモーターズ(GM)、クライスラーなど世界の大手自動車メーカー10社にのぼり、リコール台数は調査目的も含めれば2000万台を超えた。今後、さらに拡大するのは必至の情勢だ。タカタの経営とエアバッグの供給が目下の不安だが、重要部品の欠陥が自動車メーカーの経営を揺さぶる自動車産業の構造問題も見え始めた。

 タカタは昨年12月24日、ステファン・ストッカー社長を取締役に降格し、高田重久会長が社長を兼務する人事を発表した。企業の重大事に社長を更迭し、実力会長が社長に返り咲くケースはないわけではない。だが、タカタのケースは創業一族で、今なお実質オーナーの高田会長こそ欠陥エアバッグ問題で最大の責任を負うべき人物であり、更迭されるべき経営者だ。それが、権限も小さいお飾りの外国人社長を更迭して自分がしゃしゃり出るのは、経済界では物笑いの種にしかなっていない。この社長人事で、自動車業界ではタカタの経営をいよいよ不安視する声が高まっている。

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