薄型テレビの覇権をめぐる液晶テレビとの争いで苦戦を続けるプラズマテレビ陣営の最大手、松下電器産業。昨年七―九月期に世界の出荷台数の37型以上の薄型分野で液晶テレビに抜かれ、「年内には40型以上の大型テレビは液晶が過半を占める」(大手電機幹部)見通し。松下は割安感や動画応答性など液晶に対するプラズマの優位性を強調するが、液晶の値下がりが早く価格面でも差がなくなってきたため、「いずれプラズマは液晶に駆逐される」(大手調査会社幹部)との見方もある。 こうした流れのなかで、松下が検討を始めたのが経営不振に陥っている大手液晶パネルメーカー、韓国LGフィリップスLCDの買収だ。「合弁相手であるオランダのフィリップスがLGフィリップスの株式の売却先を探している」(大手投資銀行幹部)ことをうけて「LGフィリップスの大株主となることで液晶パネルの安定的な調達を可能にし、一気に液晶シフトを敷く」(同)との見方が急速に強まってきた。現在でも松下は、日立製作所や東芝と液晶パネルの共同出資会社を設立しているが「増産のスピードが遅く、待っていては機会を逸してしまう」(松下幹部)と焦りの表情を見せる。LGフィリップスを傘下に収めることで、一気にプラズマ・液晶両にらみで薄型テレビ競争に勝ち抜く考えと見られる。

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