当初二百億円の最終黒字を見込んでいたが、主力の携帯電話やデジタルカメラ事業までもが不振で、一転五百億円の赤字に転落する見通しの三洋電機。本体で初となる一千人超の人員削減や携帯電話事業の海外生産移管などを進め再建を果たすと弁明に必死だが、「海外移管など小手先の改革では再建はおぼつかない。さらに、有望な電池事業でも、会社に見切りをつけライバルメーカーからの引き抜きに応じる者が続出してジリ貧になっている」(大手証券幹部)と崖っぷちの状態だ。 こうした評価が定着し、株価も低下するなか、起死回生の策として浮上しているのが「デジタルカメラ事業を船井電機に売却する」(三洋電機関係者)という案だ。三洋のデジタルカメラ事業は内外の大手にOEM(相手先ブランドによる生産)供給しているのが大半。主力事業に位置づけてきたデジカメ事業の不振も、実はOEM供給先の不振が響いた結果だが「デジカメは過当競争で価格下落が激しく、キヤノンや松下電器などブランド力があるメーカー以外では、この先、生き残りは難しい」(大手証券アナリスト)といわれる。 このため、デジカメ事業を「薄型テレビやDVDなどをOEM生産で世界に供給している船井電機に売却する案が急浮上してきた」(三洋電機関係者)。船井電機にとっても「生産の規模が大きくなればなるほど競争力が高まるので無駄な買い物にはならない」(大手証券アナリスト)とみられる。

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