舵取りが問われる日本公認会計士協会の森会長(C)時事
舵取りが問われる日本公認会計士協会の森会長(C)時事

 東京・渋谷にある青山学院大学で昨年12月20日、同大学大学院会計プロフェッション研究科が主催する公開シンポジウムが開かれた。毎年恒例のイベントで、今回で9回目となる。だが、冒頭あいさつに立った同科研究センター長の小倉昇教授の表情は冴えなかった。

「本来ならば、会場の後ろ半分は学生たちで埋まって欲しいのだが」

 公開シンポジウムが始まった2006年に比べて学生の数はめっきり減少。会場には第一線で活躍する会計士や学者などベテランの姿が目立った。

 シンポジウムで基調講演した森公高・日本公認会計士協会会長の示した資料は衝撃的だった。会計士試験の受験者が2010年をピークに激減しているグラフがまっ先に掲げられていたからだ。2010年に2万5648人に達していた受験者数(願書提出者)が、2014年は1万870人と半分以下になったのだ。受験者数の減少はまさにつるべ落としの状態だ。

 大学院の教授が学生減少を嘆くのと、受験者の激減は表裏一体だ。公認会計士を目指す学生がめっきり減ってしまったのである。もちろん、背景には少子化によって学生の数自体が減っていることがある。だが、原因はそれだけではない。実は、試験制度の運用の失敗が大きく響いているのである。

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