2015年は朝鮮半島の視点からは植民地支配からの解放70年、分断70年という区切りの年である。北朝鮮では、朝鮮労働党が創建されて70周年の年である。

 北朝鮮ウォッチを続けていると、元日は「休日」ではなく「仕事」の日になってしまう。北朝鮮の最高指導者の「新年の辞」が発表されるからだ。北朝鮮の「新年の辞」は前年を総括し、その年の路線を提示するという意味では、北朝鮮ウォッチャーにとっては欠かせない文献である。毎年、これを読み解くことから新年が始まる。

 かつては雑音だらけのラジオで「新年の辞」を聞いたが、今は、インターネットで北朝鮮住民と同じ時間帯に、最高指導者の演説する姿を見ながら「新年の辞」を聞くことができる。

「新年の辞」は重要だが、北朝鮮の政策がこの通りになるということではない。特に、韓国との南北関係では「新年の辞」で肯定的な内容だったからといって、現実の南北関係が好転するわけではない。昨年も金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は「新年の辞」で「南北関係改善の雰囲気づくりをしなければならない。和解を阻むことはこれ以上許されない」と強調したが、現実の南北関係は逆に悪化した。

 今年の「新年の辞」の論理構成は党創建70周年の10月の「大祝典場」に向けて(1)党の唯一的領導体系の確立(2)人民生活の向上と経済強国の建設(3)自主統一の大路を開いて行く闘争を含めた国際的環境づくり――を推進するという内容であった。

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