「遺伝子検査」で危惧される「差別」「プライバシー」の問題
2015年1月13日
私たちの大切な遺伝子情報は、半分は父親から、残りの半分は母親から受け継いだもので、生涯変わることはありません。そしてその情報は子どもに受け継がれます。その遺伝子情報には、将来に発症する可能性のある病気のリスクが隠されています。最近、遺伝子検査により、個人の遺伝子情報に基づいて病気の予防や早期発見、治療が可能となってきました。2013年、ハリウッドの人気女優アンジェリーナ・ジョリー(39)がこの検査を受け、将来の乳がん予防のために乳房切除手術を受けたというニュースは世界中に流れたため、記憶している人も多いでしょう。
ところが、この新しい検査の普及に伴って、米国では目下、科学雑誌などを通じてメディアや専門家による様々な問題点の議論が繰り広げられています。今回は、その中でも深刻な問題の1つ、「差別化とプライバシー」について考えたいと思います。
「個別化」に潜む「差別化」
遺伝子検査によって、1人ひとりの体質にあった「個別化医療(personalized medicine)=オーダーメイド医療」の実現が期待されています。ところが、その「個別化」の裏には、実は「差別化」という問題が潜んでいます。米国では昔から様々な差別が問題になっていますが、最近、新しいタイプの差別、つまり遺伝子差別が大きな社会問題になっているのです。
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