番号ポータビリティ開始の緒戦で一人勝ちとなったauだが、将来への備えをよく見ると、楽観材料はあまりない。 携帯電話会社を変更しても電話番号を継続できる「番号ポータビリティ(MNP)」導入による三つ巴の戦い。昨秋の緒戦は、NTTドコモが大きく加入者数を減らし、価格競争をしかけたソフトバンクモバイルも加入者数が減少、四十六万人以上増やしたKDDI(au)の一人勝ちとなった。歳末商戦向けの新端末を例年より二カ月前倒しで投入し、音楽配信を軸に展開したダウンロード型サービスによる市場開拓が奏功し、若年層を中心に支持を得た形だ。 次なる決戦は携帯電話業界にとって最大の春の商戦。「現段階では大きな懸念は見あたらない」というKDDIだが、本当に死角はないのか。法人市場で弱い理由 KDDIは、昨年までに簡易型携帯電話PHS事業の分離、経営統合したツーカー事業の整理を断行し、auブランドの携帯事業を中心に経営を拡大する体制を固めた。 しかし、一見、好調に見えるその携帯事業も決して盤石というわけではない。最大の弱点は法人市場だ。auの加入者は個人、しかも若者が多い。法人市場は日本の携帯市場の一〇%、約九百万加入とみられる。市場全体の成長率が五%程度と鈍化しているのに対し、法人市場は一一%。新規加入の獲得に鎬を削る各社にとっては垂涎の市場なのだ。

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