ヘッジファンドの低迷で機関投資家の注目を集める買収ファンド。だが器の大きさの割に案件の数は少なく……。「今年の株式市場の最大のテーマはM&A(企業の合併・買収)」。市場では投資家の話題がM&A一色に染まっている。五月には外国企業が日本企業を株式交換によって買収できる「三角合併」が解禁に。二〇〇九年三月期から上場企業に業務の流れを文書化する「内部統制ルール」が義務づけられることに伴い、煩雑な作業と高いコストを嫌った企業によるMBO(経営陣による企業買収)も増加が予想されている。 昨年もすかいらーくの大型MBOをはじめM&A関連のニュースには事欠かなかったが、その流れがさらに加速するとの見立てだ。もっとも、制度の変更だけがこうした観測を生んでいるわけではない。その底流には、日本にも押し寄せる「ファンドの台頭」という大波がある。 その主役を担うのが、「プライベートエクイティ(PE)ファンド」だ。その名の通り、もともとは未公開企業に投資するファンドを指し、日本では景気低迷下の一九九〇年代後半から経営の危機に瀕した企業を主な投資対象としてきた。株式の過半を取得することで実質的な経営の支配権を獲得。五年から七年程度をかけて事業や人員のリストラを進めて企業価値を向上させ、運用収益を上げてきた。

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