責任を棚上げしてそろって留任を決めた森会長(右)、八木社長 (C)時事
責任を棚上げしてそろって留任を決めた森会長(右)、八木社長 (C)時事

 ヒトと同じように企業にも“遺伝子”がある。合理的に説明がつかない経営判断でも、その企業の歴史に照らし合わせれば納得できることが往々にしてある。例えば、関西電力。東京電力福島第1原子力発電所の事故をきっかけに激変した電力市場に対処する術もなく、4期連続で巨額の赤字計上を続ける森詳介会長(74)、八木誠社長(65)の首脳コンビは、この2年間で2度目の値上げを政府に申請した直後、共に留任を決めた。森は今年5月に任期切れを迎える関西経済連合会(関経連)会長の続投も宣言。値上げ申請に際して債務超過転落の危機を叫ぶ一方で、トップの財界活動は継続し、元会長ら顧問7人に少額とは言い難い報酬を払い続けている。過去のしがらみを払拭できず、抜本的なリストラに踏み切れない同社にとって何より求められるのは経営陣の刷新なのだが、歴代首脳が退き際の悪さを何度も露呈してきたこの会社に自浄作用を期待するのは確かに無理だろう。

 

4年で赤字が7000億円以上

「高浜原発3、4号機の再稼働時期は見通せない。このままなら2016年3月期まで5期連続の赤字となり、債務超過の恐れもある」

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