ソマリアへ派遣されるアフリカ連合(AU)平和維持部隊の前途が危うい。国際テロネットワーク「アル・カエダ」との関連を指摘されるイスラム原理主義勢力が、AU部隊への武装抵抗を始める気配があるからだ。 AU首脳会議がエチオピアのAU本部で部隊派遣について議論していた一月三十日、「民衆抵抗運動(PRM)」と称するソマリアの原理主義組織が、AUを脅迫する声明文をウェブサイトに掲載した。声明は「ソマリアは、おまえたちが死ぬ場所だ」などとAUを挑発。首都モガディシオに陣取るソマリア暫定政府を支援する勢力は、たとえAU部隊であろうと攻撃の対象にすると宣言した。 暫定政府筋はPRMの存在自体を否定するが、モガディシオでは毎日のように暫定政府関連施設や駐留エチオピア軍を狙った攻撃が発生。部隊派遣の事前調査のためにモガディシオを訪問したAU軍高官は、あまりに危険なため一日しか滞在できず、ソマリアが最高危険地域であることを認める形になった。 AU加盟各国は過激派によるテロで事態が泥沼化するのを恐れており、平和維持部隊への軍の提供を約束したのはこれまでのところ六カ国のみで、兵員は目標の八千人の半分の四千人しか確保できていない。

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