「いまの時代、『地域活性化』ほど政治家が喜ぶものはないんだよ」 政府・与党の地域活性化政策がそろりと動き始めた二月六日、政府関係者はあけすけに語ってみせた。 愛知県知事選と北九州市長選は一勝一敗。四月の統一地方選、七月の参院選を控え、与党は「地方対策」に躍起になっている。「無党派がどんどん逃げている。このままでは敗色濃厚だ」(ある閣僚経験者)。今国会に提出する予定の法案は、都市部から農山漁村への移住を増やそうという「農山漁村活性化法案」(農林水産省)や、物流や観光などの環境を広域整備して“都道府県おこし”を狙う「広域的地域活性化基盤整備法案」(国土交通省)など九本。都市と地方との「格差是正」「再チャレンジ」などを謳い文句に、中央省庁幹部は連日、与党幹部や有力な族議員を「夜討ち朝駆け」し、根回しに追われている。 なかでも目につくのが経済産業省の動きだ。同省は、地方の中小企業を支援する「(1)中小企業地域資源活用促進法案」と、国の規制を見直し企業誘致と産業集積をうながす「(2)地域産業活性化法案」を「地域二法」と位置づけ、強力に推進した。 一月二十三日、自民党本部。経済産業部会で、経産省幹部が二法案の内容を報告すると、地方選出議員はみな身を乗り出した。法案のキーワードは地方、地域、中小企業の活性化。「これらは自民党の主導で進めていく」。部会で平井卓也部会長(衆院香川一区)がそう強調すると、地方選出の議員からは「地方の現状を考えれば産業集積なんて夢のまた夢だ。ひとつの企業だけでも地域産業活性化法案の支援対象にしてほしい」との切実な声も飛び出した。

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