「SONY」でなくなった「ソニー」

執筆者:新田賢吾2015年2月13日
 このブランドも消えていくのか……    (平井CEO)(C)EPA=時事
このブランドも消えていくのか……    (平井CEO)(C)EPA=時事

 ソニーは2月4日に行った2014年度第3四半期(4~12月期)の説明会で、業績見通しの上方修正を明らかにした。15年3月期の見通しは売り上げが3%増の8兆円、営業利益は従来予想の400億円の赤字から200億円の黒字、最終損益も2300億円の赤字から1700億円の赤字と、いずれの数字も上向いた。市場は「構造改革がようやく実を結び始めた」とみてソニー株は急騰し、一時は時価総額でパナソニックを逆転した。だが、ソニーに将来の展望がみえ始めたのかといえば、まったく違うだろう。今の状況を一言で表せば、「ソニーの脱SONY」だからだ。

 

「B to C」から「B to B」へ

 東京通信工業としてスタートしたソニーが「SONY」のロゴを使い始めたのは、電池駆動で世界の先端を行ったトランジスタラジオ『TR-55』を発売した1955年。そして1958年には社名もソニーに変更した。井深大氏がSONYのロゴを使った最大の理由は、世界のどこでも同じ発音で読まれる造語だったからだ。「NIKON(ニコン)」が米国で「ナイコン」と呼ばれるようなことはSONYにはない。世界のほとんどの地域で、大人も子供も男性も女性もSONYは「ソニー」と発音する。それはSONYが「グローバルな消費者向けエレクトロニクスメーカー」を目指したからにほかならない。

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