インド航空業界「利益なき値引き競争」再燃も

執筆者:緒方麻也2015年2月20日

 格安航空(LCC)の雄・エアアジア(マレーシア)と組んだタタ・グループが昨年6月、61年ぶりに航空業界に復帰。さらに今年1月には同じタタとシンガポール航空(SIA)の合弁によるフルサービスの「ビスタラ」が就航するなど、暗い話題が多かったインドの航空業界に久しぶりに明るいニュースが相次いでいる。原油価格の急落で航空燃料も値下がりし、慢性的な赤字体質からの脱却にも期待が高まっている。

 しかし、各社とも積極的な航空機の増備が裏目となっている上、割高な着陸料や航空燃料にかかる税金などの問題は根本的には解決していない。ビスタラを迎え撃つエア・インディア、ジェット・エアウェイズのフルサービス2社は早速サービス強化に乗り出した。さらには年内にも格安航空6社の新規参入が見込まれ、業界が再びシビアな価格競争に突入する可能性も出てきた。

 

負債総額はほぼ1兆ルピー

 航空業界専門のシンクタンク、アジア太平洋航空センター(CAPA)によると、インドの航空各社は2008~2014年にかけて6100億ルピー(約1兆1600億円)の累積赤字を計上。負債総額はほぼ1兆ルピーに達している。格安航空の大手で国内線シェア3位のスパイスジェットは約300億ルピーの累積赤字をため込み、昨年7月以降、1日当たり340便の運航を約200便にまで減らし、主力のボーイング737型機を35機から17機へと削減した。約5700人いた従業員も4500人まで圧縮したが、同社では1つの目安である「1機当たり100人」を目指し、従業員を4000人以下にする計画だ。

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