信じてはいけない病院ランキング

執筆者:髙本眞一2015年2月21日

「患者が選んだ病院ベスト100」「がんの名医100人」のような、医療機関や医師のランキング本を見かけることが多くなりました。たくさんの人々が、少しでも良い医療を受けたいと切望して、メディアから情報を得ようとしている表れでしょう。

  しかし、医師から見た印象は異なります。実のところ、ランキングを決める基準が不明瞭で、とても信頼できる情報ではありません。特に初期のころのランキング本は、ひどいものでした。マスメディアと付き合いのある医療機関が高く評価されたり、実績よりも言った者勝ちの側面もありました。さらには、自称「神の手」の医師が、大々的に取り上げられることなどもありました。ですから、臨床医の間では、その手の本は、しごく評判が悪いのです。これは、医療界から信頼性の高い情報が公開されない一方で、読者のランキングに対するニーズが高いため、メディアが無理やり医療機関や医師のランキングをした結果なのだと思います。

   ただ、最近は、メディアも努力はしてきています。自分たちで独自のデータを集めて、臨床分野の医師から非難されないよう、できる限り、客観的な情報を提供しようとし始めています。
 とはいえ、医療機関がメディアに依頼されたからと言って、死亡率や合併症発生率などを教えるのはレアケース。また、教えたとしても、いい加減というか検証可能性がない数字でしかありません。

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