前回(2月11日付「2015年の米中関係(上)日本流の『関与政策』とは」http://www.fsight.jp/32781)に引き続き、昨年11月にサザンメソジスト大学タワーセンター政治学研究所で行われたシンポジウムに基づいて、2015年の米中関係を論じてみたい。前回は米国が中国に対して長年採ってきた「関与」(engagement)政策について論じたが、今回は近年注目を集めている「軸足移動」(pivot)について論じてみたい。

 米国でこの問題を論じる際には、「軸足移動」と「政策調整」(rebalancing)が同じ意味を持つ用語として使われるが、筆者はここでは「軸足移動」で統一したい。というのは、昨年11月25日付の論考(「米国にとっての『ウクライナ問題』(上)『大戦後最も深刻な国境線変更』http://www.fsight.jp/30736)でも述べたが、「軸足移動」というのは米国安全保障政策上、どの地域を重視するかという「優先順位」(priority)をめぐる問題と同一視されるのに対して、「政策調整」の意味で「リバランス」というと「台頭する中国に対抗して勢力均衡を図る」という印象を与えてしまうと考えるからだ。

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