さらに中国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国とも合同軍事演習を実施する方針を固め、ASEAN各国に働きかけている。インドネシアの外交筋によれば、曹剛川・中国国防相の名でASEAN加盟各国の軍部あてに、合同軍事演習プランを盛り込んだ書簡が既に送られているという。 合同演習については、一月にフィリピンのセブ島で開催された東アジアサミットで、胡錦濤・中国国家主席が各国首脳に非公式に打診、大半の加盟国から前向きの反応があったという。中国側は七月にも演習を実施したい意向のようだ。 前出の外交筋は「中国はASEANとの関係を経済面だけでなく、軍事面にも拡大しようという長期的戦略を立てている」と分析、「東南アジア地域で上海協力機構と同様の安全保障機構の構築を狙っている」とみている。 中国は一月、国連安全保障理事会でミャンマーの人権状況の改善を求める米英提出の決議案に拒否権を行使、同案を葬ったが、これは国連の動きに反発を強めるASEAN各国に配慮した措置で、合同演習実施への布石だったとの見方が有力だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。