中央アジアのウズベキスタンで、イスラム・カリモフ大統領の任期が一月に切れたが、なぜか選挙もなく、そのまま元首の座に居座っている。法治主義とは程遠い権威主義体制が存続する中央アジア各国の中でも前代未聞の事態だ。欧州連合(EU)は、ウズベキスタンの豊富な資源がロシアに奪われることを懸念して関係改善に前向きだが、さすがに糸口を探りあぐねている。 旧ソ連時代の八九年からウズベキスタンの実権を握り独裁体制を敷いたカリモフ大統領は、これまで支配下の議会を使った任期延長など、強引とは言え、形式的には「合法性」を主張できる形で政権を維持してきた。だが、今年一月二十二日の任期切れには何の措置も講ぜず、大統領の法的地位は宙に浮いたままとなっている。 議会は二〇〇二年に、〇七年十二月の大統領選挙実施を決定したことになっているが、憲法の規定ではカリモフ大統領に出馬の権利はない。 しかし、旧ソ連でも有数の警察国家を築いた大統領は、投獄や国外追放で政敵を徹底弾圧する一方、後継者も育成しなかった。ビジネス界を牛耳る娘のグリナラも、政治家としては大きな疑問符がつく。年末の大統領選の実現自体を危ぶむ声が出ている。

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