南回帰線に近いインド洋に浮かぶ人口百二十万人の小さな島国モーリシャスが、インドへの“迂回投資”の増加に頭を悩ませている。リゾート地として知られ、欧米からの観光客が多いモーリシャスだが、一九九〇年代初頭にインドとの間で二重課税を避けるための租税条約を結んだことがその悩みのタネ。キャピタルゲイン税が免除となる制度を利用して、モーリシャスを経由してインドに投資するファンドが増えているのだ。 租税条約により、モーリシャス籍を許可された機関投資家はインド国内でキャピタルゲインに課税されない。一方で、モーリシャスはタックスヘイブン(避税地)であり、ここに置かれる資金には税金がかからない。したがって、モーリシャスを経由して迂回投資すれば、まったく課税されることなくインドに投資することができる。これによって、インドに流入する海外からの投資の実に三割がモーリシャス経由になった。 モーリシャスの金融界を監督する同国金融サービス委員会代表のミラン・ミーターバン氏は、インドとの租税条約を悪用して資金洗浄が行なわれないよう警戒するかたわら、海外からの資金がモーリシャスに流入するのを妨げることもないよう頭を悩ませているという。

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