大株主がコケた再建途上の西武

執筆者:2007年4月号

 全国各地のプリンスホテルなど保有不動産の売却や景気回復による宿泊・レジャー客の増加などで、業績的には順調に再建が進んでいる西武ホールディングス(HD)。しかし、ここにきて雲行きが怪しくなった。 最大の懸案は、日興コーディアルグループの米シティグループ傘下入りと、それに伴う日興プリンシパル・インベストメンツ(PI)株のシティによる外部売却だ。日興PIは一連の日興コーディアルの不正会計問題の舞台となった会社で、日興コーディアルをTOBで傘下に収める米シティは「シティと業務が重複する日興PIの事業は外部に売却する」(シティ幹部)方針。日興PIは西武HDの第二位株主で、同社幹部が西武HD役員に名を連ねていた。 日興PIをめぐっては「複数の買収ファンドが取得に名乗りを上げている」(同)といわれる。西武HDは発足の際、公共性の高い鉄道事業も手掛けていることから「日興PIなどファンドはすぐに他者に西武HD株を転売しない」との約束で増資を引き受けてもらった経緯がある。しかし、シティによる日興PIの外部売却となれば、西武側としても「表だって文句は言えない」(西武関係者)。「西武グループの不動産を狙った物言う株主が日興PIに代わって経営に参画してくると、再建は混乱する」との懸念が出てきた。

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