[モスクワ発]中央アジアのトルクメニスタンを二十一年間にわたって独裁支配したニヤゾフ前大統領の死去に伴い、今年二月に大統領選が実施され、ベルドイムハメドフ新政権が発足した。同国の豊富な天然ガス資源を狙って中国や欧米が接近、現在輸出ルートを握っているロシアの独占体制を崩そうとする影響力争いが強まりそうだ。 ベルドイムハメドフ大統領は、義務教育期間の延長や海外留学の実施、医療改革、インターネット利用の開放など一定の改革・開放政策を公約に掲げる。これはニヤゾフ時代の個人崇拝型の独裁体制を徐々に改めていくという国際社会へのシグナルとも受け取られている。 実際、ベルドイムハメドフ大統領は二月の就任宣誓式に出席したロシアのフラトコフ首相やバウチャー米国務次官補らと会談。トルクメンのメディアとのインタビューにも応じ、全文がインターネット上に掲載されるなど、ニヤゾフ時代には考えられなかった対応を見せている。 しかし、同大統領は二月末の内閣人事で国防相、内相らを再任するなど治安機関には手をつけていない。ロシアの独立国家共同体(CIS)研究所のトルクメン専門家、グロジン研究員は「新大統領はカリスマ性のある強力な指導者ではなく、権力基盤を固めるために治安機関に頼らざるを得ない」と指摘している。

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