中国依存に危惧 台湾がインド積極進出

執筆者:九門崇2007年4月号

 台湾企業のインド進出が急速に進んでいる。 二〇〇六年、台湾の対中国投資(認可ベース)は前年比二七・二%増の七十六億ドル強と過去最高を記録した。対外投資全体に占める中国の割合は前年と比べ減少したものの、依然六三・九%を占めている。ますます強まる対中依存への懸念を解消する“新天地”として、台湾当局は巨大市場のインドに期待を寄せている。 ただ、実際に投資を表明する企業は、IT(情報技術)や海運、建設業などの大企業を除いてまだ少ないのが実情である。たとえば東南アジアは華僑が多いためそのネットワークを用いて進出しやすいが、インドは言語や商習慣が異なるため、投資リスクを恐れる企業が多い。 ところがEMS(電子機器受託製造サービス)企業の場合は事情が異なる。顧客ブランドの製品を製造する「黒衣」的なビジネスなので、大口顧客の要請があれば、工場ごと顧客の近くに進出せざるを得ない。 大手EMSの富士康(フォックスコン=鴻海精密工業グループ傘下)がまさにその例だ。フィンランドの携帯電話大手ノキアの携帯端末などを製造する同社は、インド南部のチェンナイ(旧マドラス)に進出したノキアの要請で、インド工場の建設に踏み切った。

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