環境問題はいまや経済成長にタガをはめるルールづくりになってきた。アメリカの態度も急変、早く本腰を入れないと、また日本だけが――。「環境問題」というと、社会倫理や高邁な理想論の領域だという印象が強い。実際、活躍するのは自然保護団体やNPO(民間非営利団体)で、企業といえばメセナ(社会貢献)として取り組む程度というのが、これまでの相場だった。だが、ここへきて世界の状況は一変している。環境は経済問題の中心議題となり、国際政治の舞台でも各国のさや当てが始まっている。そんな中で、またしても出遅れているのが、わが日本なのだ。「巨額のカネを出させられた挙句、まったく国際貢献していないと叩かれる。このままでは湾岸戦争の時と同じになる」――。環境問題に詳しい金融機関の幹部は、こう危機感を募らせる。六月にドイツのハイリゲンダムで開かれるサミット(主要国首脳会議)では環境問題が主要議題の一つになることが決まっている。だがこれはあくまで前哨戦。環境を巡る議論が最高潮に達するのは、おそらく来年、二〇〇八年のサミットの場だ。皮肉なことに開催国は日本だ。「京都議定書」。議論の的になる取り決めには「キョウト」の名前が付いている。地球温暖化の悪玉とされる二酸化炭素(CO2)をはじめとする温暖化ガスの削減目標を定めたもので、一九九〇年の排出実績をベースに各国ごとの削減目標を定めている。その目標達成を迫られる本番が二〇〇八年から一二年までとなっており、日本でのサミットはその幕開きの初年度と重なっている。

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